北マリアナ諸島・ウミウシ考


#3 ウミウシ狂?


…… 親ばかならぬウミウシばか。 それともウミウシ狂? ……

ハッキリ云いましょう。サイパン島のウミウシはカワイイ!
とてもとても表情が豊かで可愛いのですよ。
あんな訳のわからんナメクジみたいのが可愛いだなんてオカシイ、
そう思われる方も多いでしょう。
でもでも、ウミウシの画像を眺める度に
サイパンのウミウシって何て可愛いんだろう、
という気持ちに浸ってしまうんです。
あっ、引かないでください〜

◆何故サイパン島のウミウシは可愛いのかを考えるに、基本的な見方が違っているのではないかと思われる。

例えば学術的に使える画像というのは、まず背面をしっかり撮るのが大事らしい。また種によって腹面や他に顕著な特徴を持つ箇所を撮るのが肝心。以上の条件を満たしたものが図鑑等で採用されるのでしょうね。

◆さてサイパンのウミウシ・データと命名しておきながら、ここでの画像は上記を満たしているとは限らない。撮り手に依るものが大きいのは確か。何故なら、気付いてしまったんですよ、彼等の表情やしぐさに。きっとこれはデジタルカメラの恩恵。

ポジ派であれば後でルーペを使い、細部に至るまで画像をチェックする事も多いのでは?そしてフィルム派は、プリントされたものをアルバムに入れて眺めるだけ。いや、簡単に云えば、ですが。

しかしデジタルカメラで撮影した場合、カメラのモニタだけでなく、環境が整っていれば即PC上で画像のチェックが可能な上、拡大も簡単。特にマクロレンズを着けていたならば更に細部を観察可能。すると今まで気付かなかった事を見つけてしまう訳ですよ。

◆例えば、チドリミドリガイ

引いて見ると猫顔なのに、目元をみれば犬顔が見える。おまけに寝ているのか起きているのかわかり易い。そういう事に興味を持つと、斑点によって個体識別が簡単な種である事を知る。そういう見方をして行くと、彼等のライフサイクルは長くはないらしい…という事に気付いたり。

ブドウガイ科もお忘れなく。

何故ミガキブドウガイは、こんな色彩且つ、カバちっくな姿になったのだろう。この種たちの、何とも云えない上目遣い(いや、白眼はないけれど)は、映画シュレックに出てくる長靴をはいた猫の決め業 オメメウルウル にも匹敵すると勝手に思っている。

ゴクラクミドリガイ科の仲間は眼が良い筈。

彼等は種によって眼の位置が分かり難いタイプも多いけれど(眼の周辺が暗色の場合)、拡大画像をよく見るとカメラ目線がとても多い。そう、彼等はダイバーが何をしているのか見ているんですよ。そして、その中でもシロアミミドリガイのカメラ目線でスマイル!は格別。
ちなみにゴクラクミドリガイ科チドリミドリガイ科と同じ嚢舌目である。

アメフラシ科の仲間の眼はとても興味深い。

何故なら白眼があるから。専門家ではないので詳しい事は全くわからないけれど、ただの黒い点に見える眼と、白眼や水晶体もありそうな場合では、親しみ度も変わるように思える。一見不気味なビワガタナメクジだが、彼等の愛嬌のある顔をよ〜くご覧頂きたい。


◆ウミウシの中には眼が皮下にある種も多い様で、そういう種は明暗で動いているらしい。なので残念ながらイロウミウシ科イボウミウシ科等は眼を拝見出来ない。ではそういう種は可愛気がないのかと云えば、もちろん可愛いのである。思わず指で突ついてしまいたくなるムッチリ感、あぁたまらない。ちんまりとしたフジナミウミウシも見て欲しい。



ドーリス科は忍者チックだったり奇抜なデザインだったりするけれど…

テンテンウミウシの姿にはただ癒される。


◆数ミリから数十センチと、ウミウシのサイズは種によって違っているが、サイパン島で見られるのは殆どが10mm前後。マクロレンズを装着した場合、30mmとなれば大き過ぎて全身が撮れなくなったりする(撮り手の問題だなんて云わないで…)。

◆サイパン島で確認しているウミウシの種類は160種程と、ウミウシウォッチングが盛んな場に比べると格段に少ないだろう。それでも個体発見時の証明として撮影、なんて事だけではなく、個々の表情の違いを楽しむように撮れば、なんだかヘンテコな生き物ではなく、海の宝石としてもっと多くのヒトに認知されるのではないかと、、、、希望しています。

GONは帰国したが、彼女はウミウシたちの豊かな表情を沢山残していってくれた。ありがとう。

Sep.2007


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